各種報告など

2024年の年頭にあたって

 2023年は世界で近代的観測が開始されて以降の最高平均気温を観測するなど,地球温暖化の進行を感じる一年となりました.世界各地で熱波による被害や大旱魃,そして洪水などのニュースが頻繁に報じられてきました.こうした深刻な温暖化への国際的取り組みが急務であるにも関わらず,ウクライナやパレスチナなど,戦乱が広がっています.2024年が平和への希望が見える年になることを願っています.
 2024年は,能登半島でM7.6の巨大地震が発生し,その翌日にはJAL機と地震の救援物資を積んだ海保機が衝突・炎上すると言う衝撃的な事件で幕をあけました.被災された方や犠牲者の皆様に心より哀悼の意を表すとともに,1日も早い救援と復興を祈っています.本センターの第9回公開講座(変動する地球:日本海東縁変動帯―迫り来る巨大地震に備えるー)で,日本海東縁変動帯では地震がこの20年ほどで発生頻度が増大していることに警鐘を鳴らしましたが,残念ながらその予測が当たってしまいました.
 今回の地震は能登半島北部から佐渡にかけての150kmもの断層が活動したことによるもので,能登半島北西部は4メートルも隆起しました.3.11以来初めての大津波警報が発出されましたが,この隆起を考慮に入れると,実際には5メートルを超える大津波が能登半島には襲来したことになりますが,津波による被害が少なかった要因の一つは,この地震による隆起によるものと思われます.
 さて,昨年は新型コロナの5類移行に伴い,様々な社会的活動が復活し,三年ぶり,あるいは四年ぶりの様々な行事が再開された年でもありました.昨年は3回の公開講座をはじめ,研究セミナーも3回,特別講演会も開催しました.また,横須賀高校の修学旅行研修(厚真の地盤災害研修)への講師派遣なども行われました.今年も着実に本研究センターの活動を繰り広げたいと考えていますが,2024年の最初の活動として,2月18日に論文輪読会をオンラインで開催します.北海道を中心とした中生代テクトニクスに関する論文が君波会員によって紹介されることになっています.専門的な内容ですが,北海道の中生代テクトニクスに興味のある方はぜひご参加ください(HP上に案内が掲載されています).なお,総合地質7巻は諸般の事情により刊行が遅れています.1月内には刊行できるよう現在作業中です.遅れて申し訳ありませんがもう少しお待ちください.
 最後に,会員の皆様のご健康と活躍を祈っています.今年もよろしくお願いします.


北海道総合地質学研究センター
理事長 宮下純夫


2023年通常総会の報告

 特定非営利活動法人 北海道総合地質学研究センターの2023年度通常総会が5月13日に開催されました.
 総会に先立って宮坂省吾会員による「札幌を見下ろす山々」の特別講演会が予定されていましたが,前日夕方に奥様が急病で入院されたとのことで,急遽,代役として理事長の宮下が「自然災害と地質学」の講演を行いました(ホームページのセミナーページに報告が掲載されています).

 総会では最初に議長に松田義章理事,総会議事録署名人には岩間唯史会員と岡 孝雄理事を選出し,17名(4名は委任状),一般会員4名(うち2名はオンライン)が参加しました.2つの議案(事業報告,事業方針)について,宮下および嵯峨山副理事長より報告,審議され,在田一則監事からの監査報告も受けて,承認されました.
 新役員選出ではこれまでの理事に加えて新たに岩間唯史会員を理事として選出し,総会の最後には拡大理事会としての形式をとって,理事長に宮下,副理事長には中川 充理事を選出し,2023年度のスタートを切ることとなりました.設立以来,副理事長を務めてきた嵯峨山理事からは,副理事長退任にあたっての挨拶が述べられました.

 今回の特別講演会や総会は,ハイブリッド方式で行われましたが,回を重ねたせいで,ほぼ順調に実施されました.コロナ騒動の副産物として,オンライン会合やハイブリッド方式が実行されるようになったのは,遠隔地の会員の参加などに新たな局面を生み出すこととなりました.
 総会の終了後には,近くの居酒屋(北海鮮魚店)に席を移し,4年ぶりの懇親会を開催しました.久しぶりの飲み会ということで15名もの盛大な飲み会となり,大いに歓談,談笑する機会となりました.

 なお,宮坂会員の奥様が快癒され,新ためて講演会が開催されることを念願しています.また,第11回公開講座は松田会員による「地質学的に見た手稲山の形成史」が7月1日に予定されて準備が進んでいます.

 今年は,桜前線の記録的に早い時期の北上や,5月に猛暑日が各地で到来するなど,気候変動の動向が注目されるとともに,最近相次ぐ地震の頻発も心配です.今年度はこれらの問題にも関心をさらに高めてゆきたいものです.本会の様々な活動に会員の皆様の積極的な参加を期待しています.

(理事長 宮下純夫)


2023年を迎えるにあたって

 HRCG会員の皆様に新年を迎えるにあたってのご挨拶をお送りします.
 2022年はロシアによるウクライナ侵攻や3年目を迎えたコロナ禍,エネルギー価格や物価上昇など,暗い一年でした.地球温暖化はさらに深刻さをましており,熱波や旱魃,大雨による洪水,そして記録的大雪など,異常気象のニュースにあふれた一年でした.ウクライナ戦争は,人道危機や民主主義の問題に加えて地球環境の悪化にも拍車をかけており,地球科学に関わる当センターは,こうした観点からの発信にも努めたいと考えています.
 さて,本研究センターの活動は,3年間ちかく中断していた公開講座を昨年秋から再開し,2回ともほぼ定員近い参加者がありました.対面での研究セミナーや会員交流会,輪読会も再開していますが,オンライン方式も加えて遠隔地の会員も参加できる方向を模索しています.こうした活動のなかで,新しい会員も増えており,昨年1年間で10名が新たに加わり,40名を超える組織となりました.2015年に15名でスタートした本センターは着実に成長してきました.学術誌の総合地質には多彩な分野の論説,総説,報告・資料など10件が掲載された第6巻が刊行されました. 本センターの顔とも言えるホームページは,川村情報担当理事や中川広報担当専務理事の努力により,この1年間で大きく改善されました.トップページのスライドは会員の皆様からの投稿を常時受け付けています.栁下理事の尽力により2020年に開始されたHRCG通信も9号に達し,会員の相互交流や情報交換に大いに力を発揮しています.このほか,修学旅行の研修(厚真の地盤災害)にかんする協力事業や沼田町町長との懇談会など,新たな進展もありました.
 2023年は,長らく中断していた懇親会の再開を始め,大いに当センターの活動を活発化させるとともに,希望の見える年であってほしいと願っています. 会員みなさまのご健康と活躍を祈っています.

(2022/12/30 HRCG理事長:宮下純夫)


2022年通常総会の報告

 5月15日札幌市エルプラザにおいて標記の総会が開催されました.今回はハイブリッド方式で,参加者は会場出席11名,オンライン参加2名,表決件行使2名,委任状2名の17名で総会は成立しました(正会員総数20名).
 前田仁一郎 理事長が開会のあいさつを行い, ついで 2021年6月3日に逝去された山岸宏光会員に対し出席者一同が黙祷を捧げました. 総会議長は高波鐵夫, 議事録署名人に中川 充ならびに岡村 聡を選出し,第1号議案から第3号議案までの審議が行われました.

 第1号議案は2021年度の事業報告と決算で,前田仁一郎理事長より配布された議案に基づき事業報告が, 嵯峨山 積副理事長より 2021年度の決算案の報告が,加藤孝幸監事から2022年4月17日に業務ならびに会計の監査を行い, 正確・妥当であると認めた旨の監査報告がされました. 質疑を経て賛成多数で承認されました.第2号議案の2022年度の事業計画と予算についても同様に報告・質疑が行われ承認されました.

 第3号議案は2022年度の役員選任で,13名の理事(石崎俊一, 川村信人, 君波和雄, 松田義章, 宮坂省吾, 宮下純夫, 中川 充, 岡 孝雄, 岡村 聡, 嵯峨山 積, 関根達夫, 高波鐵夫, 栁下文夫),監事2名(在田一則, 加藤孝幸)の役員選任提案があり, 異議無く満場一致で承認されました.
 新たに選任された理事の互選により, 理事長 宮下純夫, 副理事長 嵯峨山 積, 専務理事 中川 充・岡村 聡・関根達夫が選出された旨,報告されました.

 以上で総会の議事が終了しましたが,設立時から理事長の任を果たしてきた前田仁一郎より退任にあたっての挨拶が述べられました.また宮下純夫新理事長より新任にあたっての挨拶が述べられました.


(宮下記)


会員動向


中西 諒さんに日本地質学会研究奨励賞

 本センター学生会員の中西 諒さんが,若手研究者対象の2022年度日本地質学会研究奨励賞を受賞しました.対象論文は「1640年北海道駒ヶ岳噴火による津波堆積物の分布と津波規模の推定」(地質学雑誌,2019,125)です.
 中西さんは,東京大学大気海洋研究所の博士課程に在籍し,北海道の太平洋沿岸の歴史津波堆積物を対象に精力的に調査研究しています.今回の受賞論文では,駒ヶ岳噴火テフラ(Ko-d)に覆われる津波堆積物に注目し,駒ヶ岳噴火に伴う山体崩壊に起因する津波について,堆積物の詳細な現地調査と数値シミュレーションを駆使し,津波の推定遡上高・津波マグニチュードなどの津波評価の検討を行いました.現在,千島海溝の海溝型地震を波源とする歴史津波についても成果を上げつつあり,北海道太平洋沿岸における地震津波災害予測にたいして重要な貢献が期待されています.

 ※ なお,受賞論文は 地質学雑誌の公開ページ で参照とPDFダウンロードができます.


各種アナウンス


スマホ等での表示について

本サイト全体の表示・スタイルを “レスポンシブ・デザイン” によりスマホに対応しました.スマホ等の表示横幅420ピクセル以下のディバイスで閲覧した場合,以下のように表示されます.

1:ヘッダーやフッターは固定されず,ページ本体と一緒にスクロールします.

2:アクセスカウンターは非表示となります.

3:メニューバーは上部にフロート表示されるナビメニューボタンになります.

4:右側表示ペインは左側表示ペインに対する目次部分が非表示となり,残りの全体が最後尾に枠付きで表示されます.

5:一部のファイルサイズの大きな PDF ファイルに対するリンクが非表示になります.

※ 対応はまだ完璧とは言えませんが,随時改良していく予定です.


サイトの表示が乱れる時の対処法

サイトのリニューアル後に最初にホームページを開いた時,ロゴ・バナー・ボタンなどが表示されなかったり,ページの表示がずれたり乱れたりする場合があります.このような時は,『ブラウザの再読み込み』を行ってください.その方法は, こちら(Word文書 docx)をご覧ください.


地形・地質スライドの募集

※ 会員の皆さんからのトップページに掲載されるスライドの提供を募集しています.

・対象は,原則として『北海道の地質と地形』に関するものですが,それ以外のものでも編集サイドの判断で掲載するものとします.

・コンテンツは,提供した会員自身が所有権・著作権を持つものに限定します.提供後の著作権管理はHRCGが代行しますが,著作権自体は提供者から移動しません.

・コンテンツは原則として写真ですが,それ以外のものでも適当と認められる場合は掲載します.

・掲載形式は 1 : 5 ~ 1 : 4 程度の横長になります.表示対象がこのサイズに切り取れることをご確認の上応募してください.

100 文字程度の簡単な解説を付けてください.解説文は編集される場合がありますので,ご承知ください.

・スライドについて参考になるサイト・ページがありましたら,そのURLを付記してください.

・写真のクロップや調整は編集サイドで行いますので,原版を提出してください.

・編集担当まで メールで お送りください.

・掲載の可否や掲載期間は編集サイドで判断させていただきますので,ご了解ください.


各種書式 注)編集可能な Word文書形式 *.docx になっています.


総会委任状

総会議決権行使通知

退会届


会員提供アーティクル


パワーポイント (PPT) のスライドを録画する方法
関根達夫 2022/03/13 第6回会員交流会にて発表, 2022/03/18 掲載

動画 (mp4: 42 MB)を 別ウィンドウで開く

 なにかの理由で講演会場に行けなくなったり,講演時間に間に合わない時,講演を取り消されれてしまいます.また発表会場でのパワポの不具合ということもあり得ます.このような場合,事前にスライドの録画ファイルを講演会事務局に送ってあれば,講演者が不在でも講演を進めることができます.この動画では,PowerPoint スライドを録画する方法をご紹介します.

 パワーポイントでプレゼンテーションを開き,「録画」タブから「録画・記録」をクリックすると録画が開始されます.細部の設定は、動画を参考にしてください.

(※注 この機能は PowerPoint 2013 より前のバージョンでは使えません)


日本地形用語事典:QGIS に掲載範囲を描く方法
関根達夫 2022/03/13 第6回会員交流会にて発表, 2022/03/18 掲載

動画 (mp4: 64 MB)を 別ウィンドウで開く

 フィールドワークをする地質関係者にとって,GIS(地理情報システム)は必須と考えています.この動画では,書籍に掲載されている地図の掲載範囲をQGIS上に描画する方法を紹介します.
 QGISでは,背景地図をシームレス地質図・活断層図・地すべり分布図・空中写真・色別標高図などに変えられるので,それらの図との関係を検討できます.

 まず,書籍中の地図には緯度経度が表示されていないので,地図中の地名や山の名前を頼りに地理院地図やgoogleで位置を取得します.次に,QGISに掲載地図の範囲(ポリゴン)・写真撮影地点データ(ポイント)・活断層線(ライン)を描き,属性のフィールドに地図名・地点名・活断層名と掲載ページを入力すれば完成です.



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