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第 7 回研究セミナー

講演者:山岸宏光 (北海道総合地質学研究センター)
講演タイトル:水中火山のはなし –NHK ブラタモリ室蘭 (2017年11月25日放映) に関連して–
日時: 2018 年 2 月 3 日 (土曜) 14:30–16:00
場所: かでる 2.7 北海道立道民活動センター 920 号室 (札幌市中央区北2条7丁目)
会員以外の方でも関心をお持ちの方はどなたでも自由に参加することができます. 参加は無料ですが, 資料代 300 円が必要です. また予約は不要ですが, 会場の収容人数に制限があるため, 先着順とさせていただきます. なお, このセミナーに関するお問い合わせは北海道総合地質学研究センター (office@hrcg.jp) までおよせください. 講演要旨を含む広報用の資料はこちらから, ポスターはこちらから入手可能です.


講演要旨:

NHKブラタモリという番組では、地学の話題がよく出てくる。そのなかで、とくに、ブラタモリ熱海では、水冷破砕溶岩という言葉が、同知床では水冷破砕岩、また、2017年11月25日に放映された同室蘭では、演者が出演して、「水冷破砕岩」という用語の創始者として紹介され、地球岬やトッカリショなど、室蘭八景の海側から見た、「水中火山」のでき方を解説した。


この室蘭絵鞆半島外側の断崖の地質や岩石については、最近の知識で解説したものはなかったため、その取材にあわせて、室蘭市が公開しているオープンデータの解析に始まり、セスナ機((株)シン技術コンサル)による斜め写真撮影や現地調査を実施して、膨大なデータを収集して、貴重な資料を入手したと同時に、新たな知見を得ることができた。


このセミナーでは、あらためて、「ハイアロクラスタイト」(hyaloclastite)の和訳である「水冷破砕岩」の意味を解説して、ブラタモリ室蘭の番組作成に協力した際に取得した種々の画像データなどを主に紹介する。さらに、ほかのNHK番組(BSプレミアム国道5線トラック旅など)で紹介された積丹半島東海岸の露頭写真も紹介する。


地質屋がよく使っている「ハイアロクラスタイト」の日本語訳を、“水冷破砕岩”としたのは演者である(神恵内図幅など)が、この名称を使うことについては70年代には、いくつかの議論があったので、火山岩の分類をふくめて紹介する。


いずれにしても、2016年の日本地質学会(東京)では、天野一男さんらが、“グリーンタフルネサンス”と称して、中新世の海底火山の復元に関する研究が始まっている。1991-2000年の間に、「水底火砕岩研究会」(http://science.shinshu-u.ac.jp/~geol/Miyake/HP/suitei.html) として、10回の研究集会と巡検会が開催されてきたが、高齢化と、フィールドジオロジーの衰退によりそれ以降開催されていない。しかし、それに代わって、on line に「水中火山岩研究会」(http://kazan.okuyama.co.jp/)が2015年にたちあがり、少しずつ会員も増えている。わが国ではフィールドジオロジーそのものが“絶滅危惧種”である状況であるが、西の島新島の誕生や、JAMSTECなどの現海底による種々の調査も行われていて、多くのデータが提供されつつある。この機会に海中―水中の火山活動に興味をもってくれる若い人が増えれば幸いである。


第 1 回公開講座・北海道教育委員会主催 道民カレッジ連携講座:「札幌の失われた川を歩く」

講師・案内者:宮坂省吾 (北海道総合地質学研究センター)
日時:2017 年 10 月 13 日 (金曜) 13:00–17:00 かでる 2.7 北海道立道民活動センター 750 研修室にて事前の座学, 10 月 14 日 (土曜) 13:00–15:00 北大正門から北大植物園周辺を歩いて札幌の失われた川の痕跡をみる.


一日のみの参加も可能です. 参加費:13 日 500円, 14日 1,000円 (北大植物園入園料・保険料を含む). 事前の予約が必要です. 予約方法など, 詳細は広報用の資料をご覧ください.


第 6 回研究セミナー

講演者:松田義章 (北海道総合地質学研究センター)
講演タイトル:地学教育の課題とその改善
日時: 2017 年 10 月 1 日 (日曜) 15:30–17:00
場所:北海道クリスチャンセンター 201 研修室 (札幌市北区北7条西6丁目)

講演要旨:

1 問題の所在:地学教育の課題として, 文部科学省や北海道教育委員会等の諸調査の結果から以下のような問題や課題が指摘されている. ① 地学的事象の多様性等の特性に起因する記載的な学習内容の多さ. ② 地学の学習が自己完結的なものに終始しがちで問題(課題)発見型のものや課題解決的なものになっていない. ③ 上記のことから, 児童や生徒は実際の地学的事象には興味や関心があるが, 地学の学習は暗記中心で学習自体に興味・関心が持てないといったことなどが挙げられている. 一方, 教師の側からの地学教育の課題として, 児童や生徒にどのような自然観に立った地球観を育成するのか?といった課題に対しては, 以下のような観点に立った地球観の重要性を指摘している. ① 現在性・斉一性(ユニフォーミタリアニズム). ② 歴史性.③ 相互関連性. ④ エネルギー論的な見方・考え方. ⑤ 平衡的な見方・考え方. ⑥ 進化する地球・惑星システム的な見方・考え方. 以下・・・等. なお, 文部科学省は, 小・中・高等学校の学習指導要領において, 地学の教育において育成すべき概念として以下の3つを挙げている. ① 時間概念の育成. ② 空間概念の育成. ③ 地球概念の育成. ただし, ③の地球概念というのはいかにも定義や実体が曖昧で意味不明なので, システム概念の育成とでも捉えた方が良さそうである. 本講演の発表では, 上記の課題を整理し, その課題の解決に向けて, 以下のような研究の構想を設定した. ① 地学教育および地学の学習の今日的な課題を改めて整理し提起する. ② 上記の①の課題を踏まえて地学の学習の改善に向けたプランを立案する. ③ 地学に関わる問題や課題の発見・追究・解決を重視した地学の学習の構築を図り実践を試みる. ④ 野外科学の手法(川喜田【1967】のW型の研究過程)を踏まえた学習の試行的な実践の事例を収集し, その成果と課題を明らかにする.


2 課題解決の方策:具体的な授業プランとその実践例〜W型の学習過程を踏まえた岩石や砂の学習例:① 岩石の分類の学習から, その結果得た知識や手法を活用して, 遺跡の石材のルーツを解明する探究的な学習の試み. ② W型の学習過程を踏まえた砂の学習:砂の構成鉱物や組成の学習からその結果得た知見を踏まえ活用して考古遺跡周辺の環境の変遷を探る探究的な学習の試み.


3 実践事例:火成岩の分類の学習とその知見および手法を活用する課題研究:【第1次】火成岩の分類のための岩石標本の観察学習(実験室内).【第2次】野外における火成岩の産状の観察実習.(野外の露頭)【第3次】課題研究:「北海道指定史跡・余市西崎山環状列石を構成する岩石とその由来を探る.」(野外および室内でのまとめ,および発表.)


(1) 研究の動機と目的:(省略)(2) 研究の方法:① 本遺跡を構成する岩石の配置について測量し, 個々の岩石ついて, 礫の大きさの計測, 形状や円磨度の検討, 岩種についての肉眼的な分類や鑑定. ② 周辺地域の地質や岩石の分布状況や産状について調査し, それらのデータを比較・検討して, 本遺跡を構成する岩石の由来について考察する. (3) 研究の結果:本遺跡を構成する213個の岩石について以下のような結果を得た. ① 礫の大きさについては, 巨礫が66%, 大礫が33%を占め, 特に50〜90 cmのものが約10%を占めていた. ② 礫の形状や円磨度の検討の結果, 角礫が49%, 亜角礫が30%を占めており, 特に柱状のものが全体の51%を占めていた. ③ 岩種は, 大きな柱状のもの(立ち石)はゼノリスを含むデイサイトが全体の94%を占めていた. (4) 考察:本遺跡の岩石は, その94%が本遺跡から約10 kmも離れた余市シリバ岬から運搬されたものであると推定される.


4 まとめ:本授業の実践によって, 従来, 記載的で暗記を強いる学習に終始していた岩石の分類の学習を, 課題解決的な学習として再構成することができた. 以上, 地学教育の諸課題について紹介するとともに, その改善の方策についても事例をもとに紹介する.



講演要旨を含む広報用の資料はこちらから入手可能です.


第 5 回研究セミナー

日時: 2017 年 5 月 28 日 (日曜) 13:00–17:00
場所:札幌市生涯学習総合センター ちえりあ サークル活動室 1 (札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10)

講演タイトル
1. 嵯峨山 積:珪藻群集はどれだけ塩分濃度を反映しているのか:塩分指数による検討.
2. 嵯峨山 積・近藤玲介・重野聖之・百原 新・冨士田裕子・矢野梓水・宮入陽介・横山祐典:北海道北部猿払村の沖積層コアの珪藻分析.
3. 岡 孝雄・乾 哲也・奈良智法:厚真川上流の地形面区分と5万年前以降の環境変動の解明-厚幌ダム地域の遺跡調査に関連して-.
4. 岡 孝雄・大西 潤:然別湖北岸ヤンベツ川沿いの段丘堆積物の泥炭の14C年代と上位ローム中に検出された御鉢平起源の降下火山灰について.
5. 前田仁一郎・松田岳洋・中田周兵・Keewook Yi:中央北海道, 日高火成活動帯に産する鉄に富む深成岩類の岩石学・年代論.
特別講演. 中西 諒:北海道胆振海岸西部における17世紀津波堆積物の対比とその特徴.


第 4 回研究セミナー

講演者:石﨑俊一 (北海道総合地質学研究センター)
講演タイトル:Madagascar 南部の地質と鉱物資源
日時: 2017 年 5 月 7 日 (日曜) 13:00–14:30
場所:かでる 2.7 北海道立道民活動センター 750 号室 (札幌市中央区北2条西7丁目)

講演要旨:

日本国政府とMadagascar共和国が2008年から推進してきた鉱物資源開発のための技術協力プロジェクトで, 2010~2012年に延べ200日間現地に滞在して地表地質踏査および地質図作成に携わった. 本発表では, 現地調査およびその成果の一部を紹介する.


Madagascarはアフリカ大陸の東方に位置しており, 南北約1,500 km, 東西600 km(最大幅)で日本の約1.6倍の面積を有する島国である. 調査地域はMadagascar南部, 南緯23°12′~24°24′および東経45°18′~46°12′の範囲内で, 総面積は11,264 k㎡(秋田県の面積に相当)である. この地域を8区域に分割して1/10万の地形図を持参してルートマップを作成するとともに, 河床部で化学分析用の砂試料を採取した.


Madagascarはかつてアフリカ大陸東部・インド亜大陸・南極大陸とともに“ゴンドアナ大陸”の一部を構成しており, 始生代~原生代の岩石が広く分布する. 島の中央から東部にかけて全体の約3分の2の地域は, 約30~5.4億年前の始生代~原生代に形成された変成岩類・花崗岩類・ミグマタイト・塩基性岩類などの基盤岩類で構成される. これらの基盤岩類は, 原生代最末期から古生代初頭(約5.5~5.0億年前)にかけて高温高圧の変成作用を受け, 広範囲で再変成作用を被った. 一方, 島の西部には古生代・中生代・新生代に堆積した非変成の地層が分布する.


本調査地域では変成岩類・花崗岩類・ミグマタイト・塩基性岩類などが分布しており, 岩相のちがいにより「25の岩相単元」に区分した. 本地域における始生代~原生代の岩石は, 中央部を南北にはしる “Betrokaせん断帯” を境にして, 西側を “Androyenドメイン”, 一方東側を “Anosyenドメイン” にそれぞれ区分している. 変成作用の時期としては, 西側ドメインが東側ドメインより古い.


調査地域内において比較的規模が大きい鉱物資源は, “Ampandrandava” で採掘されている金雲母である. 調査地域東方には, かつて採掘されたウランートリウム鉱床が分布する. このほかの資源としては, グラファイト・マグネタイト・雲母類・希土類元素・金・ウランートリウムと, ベリル・コランダム・電気石・水晶・ザクロ石などの貴石類等が賦存する可能性がある.


本発表では, 地質・鉱物資源のほかに, トピックスとしてMadagascarの「火山」・「温泉」・「氷河」・「現地の生活環境」なども紹介する予定である.



講演要旨を含む広報用の資料はこちらから入手可能です.


第 3 回研究セミナー

講演者:合地信生 (北海道総合地質学研究センター・斜里町立知床博物館)
講演タイトル:考古学と岩石学の接点 & ブラタモリ知床
日時: 2017 年 3 月 3 日 (金曜) 13:00–14:30
場所:かでる 2.7 (札幌市 中央区北2条西7丁目, 北海道立道民活動センター 620号室)

講演要旨:

博物館は専門が異なる学芸員が同じ空間で仕事をしており, 境界領域の研究がしやすい環境がある. 三内丸山遺跡の石斧について共同研究の機会があり, 北海道・北東北の石斧について岩石の種類・出土遺跡の時代を調べた. その結果, 平取産のアオトラ石と神居古潭峡谷産の青色片岩が広い地域に流通しており, 特にアオトラ石製石斧の流通が縄文時代の円筒式土器文化圏と重なることが分かった. 現在「北海道・北東北の縄文遺跡群」として世界遺産登録を目指しているが, それはアオトラ石の流通文化圏でもある. 今回, なぜこのような変成岩を縄文人が好んで使用したのか, また数千点の石斧データから縄文時代の前期~晩期にかけて, 産地からどのように運ばれたかについて検討する.


縄文式土器を作った土の産地と焼成温度については決定的な答えの出ていないテーマである. 粘土鉱物が焼かれ, それからガラスが形成され, それが粒子を結び付けるセメント物質として働き, 水を保持できる土器が作られたとの作業仮説のもとにガラスに注目した. 今回, 予備分析で時代の異なる 4 種類の土器中のガラスの水分量を計測すると, 焼きの良い土器ほど水分量が少ないことが分かった. 粘土鉱物からガラスが形成される場合, 粘土鉱物→水を含むガラス→ガラス + 水 の反応が生じ, 温度が高いほどガラス中の水分が少なくなると推察される. 経験でしか分からなかった焼成温度について定量化の可能性が見えてきた. また, ガラスの成分からもとの土の成分についての推察も可能と思われる.


昨年11月に「ブラタモリ知床」に案内人として参加した. 今回の講演の最後にその際のエピソードについて紹介する. タモリさんは想像以上の優秀な地質屋でした.



講演要旨を含む広報用の資料はこちらから入手可能です.


「研究セミナー・公開講座など」コンテンツ

2018/02/03:HRCG 第 7 回研究セミナー. 山岸宏光, 水中火山のはなし –NHK ブラタモリ室蘭 (2017年11月25日放映) に関連して–.


2017/10/13–14:HRCG 第 1 回公開講座・北海道教育委員会主催 道民カレッジ連携講座. 宮坂省吾, 札幌の失われた川を歩く.


2017/10/01:HRCG 第 6 回研究セミナー. 松田義章, 地学教育の課題とその改善.


2017/05/28:HRCG 第 5 回研究セミナー.


2017/05/07:HRCG 第 4 回研究セミナー. 石﨑俊一, Madagascar 南部の地質と鉱物資源.


2017/03/03:HRCG 第 3 回研究セミナー. 合地信生, 考古学と岩石学の接点 & ブラタモリ知床.


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