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HRCG Newsletter-37



2019/06/20

HRCG Newsletter 講読の皆さま:

HRCG は様々な事業・活動を行っておりますが, このたび, 会員有志による論文輪読会を不定期に行うことになり, その第1回を高波鐵夫・前田仁一郎の呼びかけで以下のように開催します.
今回は, 地震波による北海道下のマントルの構造と地質の対応関係を議論する論文を紹介・解説し, 議論を行います.
専門的な論文の輪読会ですが, 関心をお持ちの方はどなたでも参加をお誘いいたします.ぜひご参加ください.
なお,今回紹介される論文はオープンアクセスとなっていますので, どなたでも以下の URL からダウンロード可能となっています.
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/2014JB011099

HRCG Office <office@hrcg.jp, 080-5830-2016>

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第1回論文輪読会のご案内
場所:Lプラザ2階ミーティングルーム
時間:6月30日(日)10:30〜12:00
論文名:Detailed seismic attenuation structure beneath Hokkaido, northern Japan: Arc-arc collision process, arc magmatism, and seismotectonics,
雑誌名:Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 2014, 119, 6486-6511. 
著者:Saeko Kita, et al.
論文紹介者:高波鐵夫(HRCGシニア研究員)
要旨:
本論文で, 高密度地震ネットワークからの地震波形データと臨時の高密度ネットワークからの地震波形データとを統合して北海道直下の詳細な地震波減衰構造(周波数に依存しない減衰パラメータQ-1)を3次元的にイメージした. その結果地震P波の減衰(Qp−1)構造を約120kmの深さまでイメージできた.北海道前弧側では深さ10から80kmにある地殻とマントルウェッジでhighQp (減衰が弱い)ゾーンがイメージできた.北海道東部および南部の背弧下のマントル・ウェッジ内では減衰ゾーン(lowQゾーン)が明瞭にイメージされ、 そのlow Qpゾーンはより深部のマントルウエッジから火山フロント下のモホまで延長でき, その分布は地震波の低速度分布と一致する. これらの結果から北海道下ではマントルウェッジの湧昇流の存在が示唆された. ただし, 火山列・ギャップ域(大雪火山〜後志)ではその様子が見られない. これとは対照的に北海道コーナーの日高衝突帯では明瞭な不均質な地震波の減衰構造がイメージされ、その中にある日高主衝上断層の西側0-60 kmの深さでイメ
 ージされた広範なlow Qpゾーンは地震波低速帯に対応し、その端周辺で1970年日高山脈地震(M6.7)と1982年浦河沖地震(M7.1)のマグニチュード7クラスの大きな内陸地震が発生した.
得られた地震波減衰構造によってさらに詳細な北海道下の島弧-島弧衝突過程, マグマ活動, 地震テクトニクスの理解が深まることが期待される.
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退会用URL: http://hrcg.jp/xmailinglist/news/